コーヒーショップやカフェなどを訪れた際に「イルガチェフェ(Yirga Chefe)」という言葉を目にしたことはありませんか。
イルガチェフェはコーヒー豆や製法の名前ではなく、コーヒー豆の産地を指します。
イルガチェフェ産のコーヒー豆は品質が非常に高く、華やかな香りとすっきりとした酸味を楽しめると、近年人気のあるコーヒーです。
今回は世界的にも名高い、イルガチェフェの魅力に迫ります。品質が高い理由や味わいの特徴などをお伝えしますので、コーヒー豆選びの参考にしてみてくださいね。
INIC coffeeでは、イルガチェフェ産のパウダーコーヒーもラインアップしています。気になった方はぜひお試しくださいね。
目次
イルガチェフェとは、エチオピアにある地域の名前
イルガチェフェは国名ではなく、アフリカ大陸東部に位置する国・エチオピアにある地域の名称です。
エチオピア南西部のシダモ地方の標高2,000m程の場所にあり、火山性の土壌によりミネラルが多く含まれています。
「イルガチェフェ」とは現地の言葉で「湿地と草原」という意味があり、年間降水量が1200㎜と多く、水源に恵まれた地域です。
また、1日を通しての寒暖差が大きく、肥沃な土壌であることから、コーヒー栽培に適した土地とされています。
コーヒー豆の栽培に適したイルガチェフェ

エチオピアという国自体がコーヒー生産が盛んで、生産量は世界第5位、アフリカ大陸内では第1位の生産量を誇ります。
そのエチオピアの中でもイルガチェフェは標高が高く昼夜の寒暖差も大きいことから、コーヒー栽培に適しており、非常に質の高いコーヒーが栽培されています。
またコーヒー豆の精製方法においても、イルガチェフェの豊かな水資源を生かした方法が採られています。
コーヒーの果実の収穫後は、果実から生豆を取り出す「精製」という工程が必要になりますが、エチオピア国内では天日干しによって乾燥させる「ナチュラル」という方法が多くとられています。
一方で、イルガチェフェでは水資源が豊富なため、水につけたり洗い流したりすることで生豆を取り出す「ウォッシュト」(水洗式)と呼ばれる方法が多く取られています。
ウォッシュトは水を多く必要としますが、雑味が減り、クリアな味が広がります。
降水量が多く、水資源の豊富なイルガチェフェの環境のメリットが生かされています。
ミネラルが豊富な土壌、標高が高く昼夜の寒暖差が大きい気候、水資源が豊富な環境など、イルガチェフェはアフリカ大陸の中でもコーヒーの栽培に非常に適している地域と言えるでしょう。
エチオピア・イルガチェフェコーヒーのグレード
エチオピアコーヒーのグレードは生豆300gに含まれる欠点豆が含まれている割合で等級が決定します。
欠点豆は、病気や虫食い、傷や未成熟などある豆のことを指し、欠点豆が多いほどコーヒーの風味を損ねる要因となってしまいます。
エチオピアのコーヒーグレードは以下の様に分けられています。
等級名 | 条件 |
---|---|
最高等級:G1(グレード1) | 欠点豆が0~3個 |
G2 | 欠点豆が4~12個 |
G3 | 欠点豆が13~27個 |
G4 | 欠点豆が28~45個 |
G5 | 欠点豆が46~90個 |
等級はG8までありますが、日本へ輸出されるものはG4までと決められています。
さらに、ウォッシュトの精製方法に限れば、G2以上の等級のものしか輸出できません。
日本で飲むことができるイルガチェフェのウォッシュトコーヒーは、高品質であることが分かります。
では良質で洗練されたイルガチェフェコーヒーの味わいには、どのような特徴があるのでしょうか。
【イルガチェフェコーヒーの特徴】爽やかな柑橘系の風味
イルガチェフェのコーヒーはよく、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、花のような香り、透明感があると表現されています。
華やかな香りのものが多く、苦みよりも爽やかな酸味を感じられるコーヒーが多いです。
酸っぱさを感じる酸味ではなく、フルーツティーを飲むようなクリアな酸味があります。初めて飲む際に「まるでコーヒーじゃないみたい」と驚く人も少なくありません。
日本ではもともと苦みやコクのある深煎りコーヒーの人気が根強いですが、近年は浅煎りの酸味のあるコーヒーの人気が高まっています。
華やかな香りと酸味が楽しめるイルガチェフェのコーヒーは、日本では馴染みの薄かった浅煎りコーヒーの魅力を広げるのに一役買っているといえます。
「ビーンズアロマ ファインカップス イルガチェフェ」

イルガチェフェ産のコーヒーを手軽味わってみたいという方には、INIC coffeeの「ビーンズアロマ ファインカップス イルガチェフェ」がおすすめです。
「ビーンズアロマ」シリーズは、一つの生産地のコーヒー豆だけを使用した「シングルオリジンコーヒー」のシリーズです。
中でも「ファインカップス」シリーズはとくに希少なコーヒー豆を使用したシリーズです。
「イルガチェフェ」で使用するコーヒー豆は先述した等級において、最高等級の「G-1」のものだけを使用しています。

お湯を注いだ瞬間に湯気に乗って華やかな香りを感じられます。
ひとくち含むと、コーヒーとは思えないような爽やかな風味がありますが、その後コーヒーらしい深いコクも感じることができ、一杯の中にいくつもの驚きを感じられるコーヒーです。
「ビーンズアロマ」シリーズには、イルガチェフェとは別に「エチオピア」のコーヒーもあります。
エチオピアも華やかな風味を楽しめる人気のフレーバーです。

ぜひお試しください。

■商品名
ビーンズアロマファインカップス イルガチェフェ
■価格(税込)
3本入り:562円
12本入り:1,987円
瓶タイプ:2,678円
エチオピアは良質なコーヒーの宝庫
さて、イルガチェフェのコーヒーについてご紹介をしてきましたが、エチオピアで栽培されるコーヒー豆は、イルガチェフェだけではありません。
ここでは、エチオピアで良質なコーヒー産地として知られる3つの地域をお伝えしますね。
シダモ(シダマ)
イルガチェフェも属するシダモ地域は、フルーティーで高品質なコーヒーを生産する地域として有名です。この地域の加工法は、水洗式とナチュラル。
ハラール
古くからコーヒー栽培が行われています。ハラールの良質なコーヒー豆は、ブルーベリーを思わせる特徴的な風味。加工法はほとんどがナチュラルです。2004年エチオピア政府は、ハラール・イルガチェフェ・シダモのコーヒーを商標登録し、認知度向上を目指しました。
リム
シダモやハラールと比べて認知度は低めですが、高品質なコーヒーを生産する地域です。ナチュラルの加工法が多く、エチオピアらしい爽やかな酸味、華やかな香りが楽しめますよ。
「モカ」との違いは?
イルガチェフェはエチオピア・イルガチェフェで生産されたコーヒー豆であるのに対し、「モカ」はイエメンやエチオピアを原産とするブランドコーヒー豆の総称です。
コーヒーの起源はイエメンとする説、エチオピアとする説などがありますが、かつてイエメンの「モカ港」から輸出されたコーヒー豆を「モカ」と呼んでいました。
イエメンの対岸国であるエチオピアで生産したコーヒー豆もモカ港から輸出されていたため、エチオピア産のコーヒー豆も総じて「モカ」と呼ばれます。
その中で、地域を区別するために、「モカマタリ」(イエメン)、「モカシダモ」(エチオピア)などと分けて呼ばれるようにもなっています。
エチオピアのコーヒーセレモニー
高品質なコーヒー生産地、エチオピア。コーヒー発祥の地でもあり、現地の人々もコーヒーを日常的に楽しんでいます。そんなエチオピアの伝統行事、「コーヒーセレモニー」をご存知でしょうか。コーヒーセレモニーは「カリオモン」とも言われ、客人をもてなす1つの作法として代々受け継がれています。
簡単に流れをご紹介すると、まずは生豆を煎り、砕く過程からスタート。ポップコーンを食べながら談笑し、煎る過程の香りを楽しみます。
そして、ジャバナと呼ばれるポットに水とコーヒー粉を入れて沸騰させ、カップに入れる・戻す工程を繰り返します。最後は塩やバターを加えながら、コーヒーを3杯楽しむのがカリオモンの流れです。
日本だけでなく、コーヒーは世界で愛されているのですね。言葉は違いますが、コーヒーで繋がりを感じられるのは奥深いものです。
さいごに
エチオピアのイルガチェフェについてご紹介しました。そしてエチオピアのコーヒーの魅力は、イルガチェフェだけに留まりません。その他の地域でも高品質なコーヒーが栽培され、伝統行事があることもお伝えしましたね。
コーヒーのような、紅茶のような、はたまたワインのような。私たちに驚きを与えてくれるエチオピア産コーヒーを、ぜひ楽しんではいかがでしょうか。